歯周病治療

むし歯治療

むし歯とは

 

 むし歯の原因菌がブドウ糖を代謝して出す酸により歯が溶かされてしまった状態です。

むし歯の深さによりC0、C1、C2、C3、C4に分類されます。

歯の構造

 

歯の構造

むし歯の進行状態

C0
エナメル質の表面が白っぽく濁っているような状態で穴はあいていません。
痛みなどの自覚症状はありません。
 
むし歯C1

エナメル質だけがむし歯になり、浅い穴があいていたり、浅くえぐれているような状態です。
穴やえぐれの部分が黒くなっていたり、茶色くなっていることもあります。
痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
 

 
むし歯C2

むし歯が象牙質まで進行しているが、歯髄(神経)までは進行していない状態です。
むし歯の深さによって症状が異なり、むし歯が歯髄に近くなるほど、冷たいものがしみたり、痛みが出るなどの症状が強くなります。
むし歯C3

むし歯が歯髄腔まで達している状態です。

冷たいものがすごくしみる、温かいものもしみる、食べ物を食べると痛い、何もしてなくても痛いなどの症状があります。

 

むし歯C4

むし歯がかなり進行し、歯が崩壊してしまっている状態です。

神経も失活(壊死)してしまい、歯の根の先端には膿が溜まっていることもあります。
歯の根を支える骨にまで感染すると、顔やリンパ節までも腫れたり、菌が先全身に回ると発熱することもあります。

慢性化して病巣感染となることもあります。

 

※病巣感染についてはこちらをご覧ください。

むし歯の治療

C0

保険診療:

定期的にフッ素を塗布します。

ブラッシング指導などを行い、口の中の清掃状態の改善をします。


 
保険外の診療:

 食生活を主体とした生活習慣に関するアドバイスを行ったり、バクテリアセラピーによって口内フローラを整えることで自然治癒を促します。 

 

C1

保険診療:

少しだけ削ってCR(※1)を詰めるか、削らずに様子を見るだけで済むこともあります。
削っても痛みを感じることがほとんどないため、麻酔をしないで治療が可能です。
ブラッシング指導などを行い、口の中の清掃状態の改善をします。

 
保険外の診療:

削らずに、ドックベストセメントを詰めるか、定期的にドックベストの液を塗ります。
または、治療はせずに食生活を主体とした生活習慣に関するアドバイスを行ったり、バクテリアセラピーによって口内フローラを整えます。

 

C2

保険診療:

むし歯になっている部分を削り取ります。

穴が小さい場合はCR(※1)で穴を埋めます。

穴が大きい場合には、型取りをして、金属またはレジンで作った歯をつけます。

治療する前から「冷たいものがしみる」「噛んだ時に痛い」などの症状がある場合には麻酔を使用します。

 

むし歯がとても深く、歯髄の近くまで削った場合には、治療後に歯がしみるようになったり、時には痛みが出ることがあります。

日常生活に支障をきたすほど歯がしみる症状が強い場合や、痛みが続く場合には、歯の神経を取らなければならなくなってしまいます。

 

※当院では保険診療でも、可能な限り、削る量を最小限に抑え、金属を使用せずにCRで修復する「M.I.治療」を実践しています。

「M.I.治療」についてはこちらをご覧ください。


 
保険外の診療:

ドックベストセメントを使用した「なるべく削らない・痛みの少ないむし歯治療」を行います。
できるだけ歯を削りません。むし歯になっている部分も可能な限り削らずに残します。
できるだけ削らないので、治療時の痛みは少なくなります。麻酔も原則使用しません。
さらに、食生活を主体とした生活習慣に関するアドバイスを行います。

※詳しくは『なるべく削らない・痛みの少ないむし歯治療』専用ページ をご覧ください。
むし歯治療方法c2

C3

保険診療:

麻酔をして歯髄(歯の神経)を除去します。
その後、削った部分をCR(※1)で埋めるか、歯の欠損が大きい場合には、型取りをして、金属で作った歯をつけます。


 
保険外の診療:

ドックベストセメントを使用した「なるべく削らない・痛みの少ないむし歯治療」を行います。
C2までの段階で治療した方が成功率は高いのですが、C3でも歯髄を残せる可能性はあります。
さらに食生活を主体とした生活習慣に関するアドバイスを行います。
食生活を改善することで、成功率が上がるという報告が多数あります。


※詳しくは

C4

保険診療:

むし歯になっている部分を全て取り切った状態で、歯を残すことができそうであれば、歯の根の中の消毒をして、型取りをして、金属で作った歯をつけます。
むし歯が歯ぐきの下の深いところまで進んでいる場合や、残っている歯が薄すぎる場合には、抜歯となってしまいます。

 

<用語説明>
※1 コンポジットレジンという、白い樹脂製の材料です。粘土状のものとペースト状のものがあり、穴に詰めたり流し込んでから光で固めます。

【むし歯治療終了後】

保険診療:
むし歯の治療が終了し、他に治療の必要がなければ通院は終了となります。
 
保険外の診療:
「予防プログラム」を行います。
ご要望に応じて、生活習慣に関するアドバイス、食事分析、サプリメントのご提案、バクテリアセラピーによる口内フローラの改善、予防ブログラム専用洗口液のご提案などを行います。
 
 
健康のためにも、経済的にも予防が一番であることは言うまでもありません。
定期検診は予防ではなく、早期発見です。
予防することが最も大切なのです。


歯周病治療

歯周病治療

【歯周病とは】

 歯周病の原因菌が、歯周ポケット(歯と歯ぐきの隙間)に入り込み、そこに定着し増殖することで、歯ぐきに炎症が起こり、歯を支えている骨やその他の組織を破壊する病気です。
 歯周病の原因菌が増殖した塊のことを歯垢(デンタルプラーク)といい、歯垢1g中に1,000億個もの細菌がいます。
 このプラークと唾液中のカルシウムが反応して固くなったものが歯石です。歯石になってしまうと、普通の歯ブラシでは除去することができません。
 歯周病になると、歯ぐきが腫れたり、ちょっとの刺激でも血が出たりします。
さらに歯周病が進行すると、歯周ポケットから膿で出てきたり、歯がグラグラしてきたりします。
放置しておくと、やがて歯が抜け落ちてしまいます。

 

【歯周病と全身との関係】

 歯周病が進行した状態では、歯周ポケット内の歯ぐきから歯周病原因菌が血管内に入り込み、全身で慢性炎症を起こすことが確認されています。
 この慢性炎症が、様々な全身疾患と関連しているということもわかってきています。歯周病と関連があると考えられている全身疾患には、動脈硬化、糖尿病、関節リウマチ、骨粗鬆症、早産・低体重児出産などがあります。

 

※細菌が血管内に入り込んだ状態を「菌血症」といいます。


 人間の体は通常、菌血症が起こらないように厳重に守られていますが、出血を伴う外傷や手術で起こります。このような場合にはたいてい抗生物質が処方されます。

歯周病の経過

歯周病1

正常

歯ぐきの腫れも出血もありません。
 
歯周病2

歯肉炎

歯肉が腫れている状態で、歯を支えている骨の破壊はありません。
  
歯周病3

歯周病(軽度~中度)

歯ぐきが腫れたり、少しの刺激でも出血したりします。
歯周ポケットから膿が出てくることもあります。
歯を支えている骨が破壊され、歯の根が露出してきます。
歯周病4

歯周病(重度)

歯ぐきが腫れたり、少しの刺激でも出血したりします。
歯周ポケットから膿が出てくることもあります。
歯を支えている骨の破壊がかなり進行した状態です。
歯の根の部分がかなり露出し、歯もグラグラしてきます。
ものを噛むときも痛くて力が入らないようになります。
 

欠損部の治療

歯を失ったら…

むし歯、歯周病、外傷などが原因で歯を失ってしまった場合、欠損したまま放置するのはよくありません。
歯が欠損すると、
・ものを噛む機能が低下する
・残存歯が動いてかみ合わせが狂う
・残存歯への負担が増える
・見た目が悪くなる
などの弊害が出てきます。
さらにこれらの弊害は全身にも様々な影響を及ぼします
全身の健康は口の健康が大切なのです。
欠損部分を補う方法には、入れ歯ブリッジインプラントがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

欠損部の治療表

比較を見てもわかるように、欠点の無い完璧な治療法はありません。
ユアデンタルオフィスでは、あなたのライフスタイルに合った治療法が選択できるようにお手伝いいたします。


義歯・入れ歯

義歯・入れ歯

入れ歯の種類

 
義歯は大きく分けると総入れ歯(総義歯)部分入れ歯(部分義歯)があります。


総入れ歯は、歯が1本もないか、残っている歯が根だけの平らな状態になっている場合に適用され、あごを全て義歯で覆っているものです。


部分入れ歯は、1本の欠損から1本の残存までの場合に適用され、歯が欠損している部分に、取外し可能な人工の歯を入れ、それを残っている歯に金属の留め具で、固定したものです。


総入れ歯、部分入れ歯のどちらも保険診療と自費診療でできるものがあります。
 
保険診療の入れ歯は、欠損部を補い、残存歯の負担を軽減し、食事ができるようにするのが主な目的です。
審美性や快適性などははあまり考慮されていません。
自費診療の入れ歯は、機能の回復だけではなく、審美性や快適性も損なわないように考慮されています。

入れ歯の特徴

総入れ歯

総義歯
 

保険診療の義歯
ピンク色の樹脂と人工歯ででできています。樹脂の部分は強度を保つために全体的にやや厚みがあります。厚みがあるため、違和感が強く、温度や味を感じにくくなったり、発音がしにくくなってしまうことがあります。


金属床義歯(自費診療)
総義歯の上あごの部分や内側の部分を薄い金属に置き換えたものです。厚みがないため違和感が少なくなり、熱の伝導性も高いので食べ物の温度がわかりやすくなります。食べ物の温度は感じる味に大きな影響を与えます。


コンフォート(自費診療)
義歯の内面に生体シリコンを貼り付けた義歯です。
吸着性が向上し、骨がゴツゴツして痛みを感じやすい方でも軽減されます。
その反面、シリコンが剥がれてくることがあります。


フィックスデンチャー(自費診療)
保険診療の義歯よりも安定性を向上させた義歯です。
人工歯をセラミックやジルコニアに変えたり、裏側を薄い金属にしたり、歯ぐきの部分の色調を変えたりなどの追加オプションがあります。


Dr.カワラダデンチャー(自費診療)
究極の吸着により安定性と噛む機能を併せ持つ総義歯です。
りんごまるかじり義歯とも言われています。
製作には大変手間と時間がかかります。
※詳細は「Dr.カワラダデンチャー」の専用ページをご覧ください。

 

部分入れ歯

部分義歯
 

保険診療の義歯
ピンク色の樹脂と人工歯、残っている歯に義歯を固定するための金属の留め具
でできています。樹脂の部分は強度を保つために厚みがあるため、違和感があり、発音しにくくなったり、味や温度を感じにくくなることがあります。金属の留め具はつける場所によって目立ってしまうので審美的にはあまり良くありません。


金属床義歯(自費診療)
上あごの部分や内側の部分を薄い金属に置き換えたものです。厚みがないため
違和感が少なく、発音もしやすくなり、食べ物の温度も感じやすくなります。


ノンクラスプ義歯(自費診療)
保険診療の部分入れ歯の金属の留め具の代わりに、弾力性のあるピンクまたは透明の樹脂を使用したものです。金属の留め具がないため見た目が良くなりますが、義歯自体の厚みなどはあまり変わりませんので違和感を感じることがあります。
違和感を軽減するために金属床を使用する追加オプションがあります。


MTコネクター
審美性、快適性、機能性の全てを兼ね備えた究極の部分入れ歯です。金属の留め具もなく、大きさも極限まで小さくした義歯です。
※詳細は「MTコネクター」の専用ページをご覧ください。

 

口内炎

口内炎の症状

・赤くただれている(びらん)
・浅い潰瘍ができて表面が白っぽくなっている(アフタ)
 
ものが触れたときの痛みが強いのが特徴で、酸っぱいものや、しょっぱいものがしみます。
アフタには同時期に複数できたり、何度も再発を繰り返す再発性のものもあります。
一般的には10~14日程度で治り、あとも残りません。
なかなか治らない場合、範囲が大きい場合、出血してくる場合、再発の頻度が多すぎる場合、どんどん悪くなる場合には、病気の症状として現れる口内炎や内服薬が原因で現れる口内炎の可能性もあります。

口内炎の原因

口内炎の原因には様々なものがあります。
刺激、感染、アレルギー、ストレス、栄養不足、薬の副作用、口の乾燥、口内炎が症状として現れる疾患などがあります。

刺激
口の中を噛んだ、やけど、歯の尖った部分が当たっている、被せ物や詰め物が当たっている、入れ歯が当たる、薬品が口に入ったなどが刺激となって口内炎を起こします。
唾液の量が減少することでこれらの刺激がより強くなる傾向にあります。

感染
ウイルス、細菌、カンジダの感染により口腔粘膜に炎症がおこります。
免疫力の低下や唾液の量の減少により感染が起こりやすくなります。
また、抗生物質の長期服用で口腔常在菌が大幅に減少し、そのかわりにカンジダが増殖するため、口腔カンジダ症を引き起こすことがあります。

アレルギー
食物、金属、薬品などに対するアレルギーで口内炎ができることもあります。

ストレス
慢性的なストレスは自律神経を乱し、免疫力を低下させます。
その結果、唾液の量が減少したり、感染しやすくなることで、口内炎ができやすくなります。
また、慢性的なストレスは腸内細菌叢のバランスを乱し、腸管粘膜において、免疫に関わるホルモンの濃度や栄養の吸収に影響が出るため、口内炎ができやすくなるリスクが上昇します。
 
栄養不足
歯ぐきや口腔粘膜は常にある一定の周期で新しいものに置き換わっています。これをターンオーバーといいます。
ターンオーバーの周期は歯ぐきで9~12日、口腔粘膜で1~数日と言われています。
歯ぐきや口腔粘膜を生成するために必要な栄養素が不足すると、ターンオーバーがうまくいかなくなります。
口腔粘膜のターンオーバーは皮膚(肌)と比べるとターンオーバーの周期が短いため、栄養不足による影響が皮膚よりも出やすいので、健康のバロメーターになります。
 
薬の副作用
副作用として口内炎が確認されている薬は、抗菌薬や解熱鎮痛薬、抗てんかん薬などです。
市販の風邪薬などでも、副作用で口内炎が現れることがあります。
 
口の乾燥(ドライマウス)
口呼吸や唾液の量の減少によって口の中が乾燥しやすくなります。
口の中が乾燥すると、感染を起こしやすくなったり、入れ歯による傷ができやすくなったり、その他の刺激でも口の中が荒れやすくなってしまいます。
唾液の量が減少する原因としてはストレス、加齢、生活習慣(よく噛まない、喫煙)、薬の副作用(抗うつ薬、睡眠薬、降圧薬)、全身的要因・疾患などがあります。
 
口内炎が症状として現れる疾患にかかっている
口唇ヘルペス、はしか、手足口病、性感染症の症状の一つとして口内炎が現れることがあります。
ベーチェット病という自己免疫疾患の症状の一つに再発性の口内炎があります。
また、口腔がんでも初期は口内炎のような症状が現れることがあります。

口内炎の治療

保険診療:
まずは、口内炎の原因の特定と、可能な場合は原因の除去を行います。
併せて、レーザー照射によって接触時の痛みの軽減と治癒の促進を図ります。

保険外の診療:
まずは保険診療と同様に、口内炎の原因の特定と、可能な場合は原因の除去を行います。
併せて、レーザー照射によって接触時の痛みの軽減と治癒の促進を図ります。
口内炎の原因が、栄養不足、感染、唾液量の減少などが疑われる場合には、
オーソモレキュラー栄養療法点滴療法各種検査なども行います。
 
※詳しくは、「オーソモレキュラー栄養療法」 「点滴療法」専用ページをご覧ください。

口臭

口臭を気にされている方の中には、消臭効果のある各種製品を使用されている方もいますが、その効果は一時的なものであり、悩み自体が解決されるわけではありません。
口臭の原因は様々です。その原因を特定し、原因に合わせた対策が必要なのです。

口臭の種類と特徴

口臭は5つに分けることができます。
生理的口臭、外因的口臭、病的口臭、ストレス性口臭、心理的口臭です。

生理的口臭
起床直後、空腹時、緊張時に口臭が強くなります。
これは誰にでも起こることで、唾液の分泌量の減少が原因で起こります。
歯を磨く、食事をする、水分を補給するなどですぐに改善します。
他の生理的口臭として、女性の生理・妊娠時などのホルモンバランス変化に伴う口臭や加齢に伴う口臭もあります。
 
唾液の分泌量が減少するとなぜ口臭が強くなるの?
唾液の分泌が減少すると、細菌が増殖して口臭の原因物質である、揮発性硫黄化合物(VSC)が作られるためです。

外因的口臭
臭いの強い食物、飲酒、喫煙などが原因ですので、摂取後時間の経過とともに口臭は弱くなります。

病的口臭
病的口臭の原因は、口腔内にある場合と、口腔外にある場合に分けられ、90%以上は口腔内に原因があります。
 口腔内の原因:
 歯周病、むし歯、歯垢(デンタルプラーク)、歯石、舌苔(ぜったい:舌の表面にコケ状につくの菌の固まり)、口腔カンジダ、義歯(入れ歯)の清掃不良、義歯やプラスチックの歯にしみ込んた臭い、不良な冠に入り込んだ食物、口腔がん、口腔乾燥(ドライマウス)などがあります。
 口腔外の原因:
 鼻やのどの疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患、糖尿病、肝臓疾患、内服薬の副作用など。

ストレス性口臭
慢性的なストレスによって唾液の量が減少することで口臭が強くなります。

心理的口臭
何かのきっかけで自分が口臭が強いと思い込んでしまっている状態。

口臭の治療

保険診療:
口臭の原因が一般歯科で対応が可能なものについては、その治療を行います。

保険外の診療:
口臭の原因が口腔外にある場合には、内科などを受診していただきますが、中には病的な原因がわからないこともあります。
その場合には、生活習慣(食生活)、水銀などの重金属蓄積による代謝異常、腸内細菌叢の乱れなどの可能性もありますので、各種検査とオーソモレキュラー栄養療法をおこなっていきます。
 
※詳しくは「オーソモレキュラー栄養療法」をご覧ください。

歯ぎしり

歯ぎしりとは

 歯ぎしりは専門的にはブラキシズム(口腔悪習癖)といいます。
 歯ぎしりは睡眠時や無意識に行われることが多いため、自分ではなかなか気づきません。
 歯ぎしりというと上下の歯をギリギリとするのを思い浮かべる人が多いと思いますが、それだけではなく、3つのタイプがあります。
 
グラインディング
ギリギリと上下の歯をこするようにあごを動かす
 
クレンチング
歯を強くかみしめる
 
タッピング
上下の歯をカチカチと開閉を繰り返す

歯ぎしりの症状・弊害

 歯ぎしりがあると、歯や歯を支える組織はもちろんですが、全身にまで影響が出ることがあります。
原因不明の体の不調も歯ぎしりが原因でなっている場合もありますので、心当たりのある方は一度診察を受けてみてはいかがでしょうか。


症状

あごがだるい
えらの辺りが張った感じがしたりだるい
こめかみの辺りが張った感じがしたりだるい
歯が浮いたような感じがしたり、指で押すと痛い
耳の前の方が痛い
最近歯がすり減ってきた
 

歯ぎしりによって起こる一般的な弊害

歯が削れる(すり減る)
歯が欠ける(割れる)
歯がくさび状欠損になる(歯ぐき付近がえぐれたような状態)
歯を支える骨が減る
歯並びが変わる
歯がぐらぐらする
歯周病が悪化する
骨隆起ができやすくなる
顎関節症になる
こめかみの辺りがこる
えらの辺りがこる
 

歯ぎしりによって二次的に起こりうる全身的な弊害

睡眠障害
自律神経失調症
耳鳴り
頭痛
肩こり・首のこり
えらが張って、こめかみが出っ張ったりなどの容姿の変化

歯ぎしりの原因

歯ぎしりの原因として科学的に明確に実証されているものはありませんが、歯ぎしりの原因として可能性が高いと考えられているものを挙げます。

ストレス
かみ合わせによるストレス(安定しない、ひっかかりがある)、精神的ストレス、肉体的ストレス

集中
スポーツ、仕事、家事、趣味など、集中しているときに歯を食いしばっているという方が見られます。

睡眠時無呼吸症候群
眠りが浅くなり、歯ぎしりを誘発しやすくなります。

過度のアルコールやタバコ
眠りが浅くなり、歯ぎしりを誘発しやすくなります。

夜間の低血糖(血糖調整障害)
眠りが浅くなり、歯ぎしりを誘発しやすくなります。
 
体内ミネラルのバランスの異常
ミネラル吸収不良や重金属の蓄積によりミネラルバランスが崩れます。
 

歯ぎしりの治療

 歯やあごの関節を守るための専用のマウスピースを作成し、歯ぎしりの原因の除去を行っていきます。
 
 集中している時の歯ぎしりの場合には、まず認知行動療法を試していただきます。
 集中しているときに、自分が歯ぎしりしていることに気づくことができれば、力を抜くことができます。
「歯ぎしりに気づいて力を緩める」というのを繰り返し行うことで、その行動を行わないようにする訓練です。
 
 かみ合わせに原因がある可能性がある場合にはかみ合わせの調整や改善を行います。
 
 食事などの生活習慣に原因があり、夜間の低血糖、ミネラルの不足、重金属の蓄積が疑われる場合には、各種検査、オーソモレキュラー栄養療法を提案します。
 
 
※詳しくは「オーソモレキュラー栄養療法」をご覧ください。

顎関節症

顎関節症の代表的な症状

以下の症状が1つ以上ある場合には顎関節症が疑われます。
 
あごを動かすと音がする
口が開かない(開けにくい)
耳のすぐ前の方が痛い
あごがだるい
こめかみが痛い
えらの周辺が痛い
 
 症状は一定ではなく良くなったり悪くなったりします。
顎関節症が悪化したり、長期間におよんだりした場合には、上記の症状以外にも全身的な症状として表れてくることがあります。

顎関節症により二次的に起こりうる全身的症状

歯の痛み、舌の痛み、味覚異常
頭痛、目の疲れ
首のこり、肩こり、腰痛、背中の痛み
耳鳴り、耳がつまった感じ、耳が聞こえにくい、めまい
鼻づまり
睡眠障害

顎関節症の原因

自分の歯のかみ合わせが悪い(不安定、ひっかかる)
入れ歯や歯にかぶせたもののかみ合わせが悪い
歯ぎしり(ブラキシズム)
あごや顔面の打撲による外傷
習慣的なあごへの負担(硬いものをよく食べる、大きな口をよく開ける、頬杖、うつぶせ寝)
強いストレス
首の牽引

顎関節症の治療

あごの関節と、あごの骨につながる筋肉の安静のためのマウスピースを作製します。
 
入れ歯や歯にかぶせたものに原因がある場合には、修正または新しく作ります。
 
普段の癖や生活習慣などが原因の場合には認知行動療法によって改善を目指します。
 
歯ぎしりが原因の場合は歯ぎしりの治療を行います。
※詳しくは「歯ぎしり」をご覧ください。
 
かみ合わせが原因の場合にはかみ合わせの改善を行います。
 

病巣感染

病巣感染とは

 体のどこかにある慢性の感染病巣(原病巣)があって、それ自体の症状は軽いけれども、これが原因となって、原病巣とは直接関係のない他の臓器に反応性に起こった病態、いわゆる二次疾患のことを病巣感染といいます。
この概念は、古くは紀元前にすでに存在していました。古代ギリシャの医者であったヒポクラテスは、のどの病気とリウマチの関連を述べていたとのことです。
 
 病巣感染は、原病巣の細菌や毒素、免疫反応によって産生された炎症性物質が全身に回り、それに対して起こる反応によって引き起こされると考えられています。
 
 ある病気の治療を受けているのに、なかなか治らないという場合には、体のどこかに慢性炎症が隠れていて、病巣感染を引き起こしているという可能性もあります。原病巣の治療が根本治療となります。
 

病巣感染の原因となる慢性炎症

病巣感染の原因となる慢性炎症は、口と鼻とのどにあると言われています。

口腔

歯周病
根尖病巣
破折した歯
慢性副鼻腔炎(上顎洞)
慢性インプラント周囲炎

耳鼻咽喉

慢性上咽頭炎
慢性副鼻腔炎
慢性扁桃炎

口腔由来の病巣感染によって起こる疾患

掌蹠膿疱症、乾癬、アトピー性皮膚炎、慢性蕁麻疹、アレルギー性紫斑病

多発性硬化症、脳梗塞、認知症、アルツハイマー病

心内膜炎、虚血性心疾患、バージャー病

IgA腎症、紫斑病性腎炎(IgA血管炎)

関節リウマチ、関節炎、骨粗鬆症、胸肋鎖骨過形成

誤嚥性肺炎、慢性閉塞性肺疾患

糖尿病、メタボリックシンドローム、脂肪肝、肥満、脂質異常症

早産、低体重児出産、アレルギー、自己免疫疾患、がん

※鼻・のどの由来の病巣感染によって起こる疾患は、上記の口腔由来のものに加えてさらに多くの疾患があります。

 
これらの疾患が必ず病巣感染によって起こるわけではありませんが、口、鼻、のどの慢性炎症の治療をすることにより症状が軽くなったり治癒した例が多数報告されています。
また、これらの疾患の患部から、原病巣の細菌由来の毒素や、炎症性物質が見つかったという報告が数多く存在します。
 
上記疾患の治療を受けているのに、なかなか治らないという場合には病巣感染の可能性があります。

病巣感染の歴史

 1911年にイギリスの医師であるハンターが「病気に罹った歯はそこから排泄される細菌が血液にのって、遠く離れた部位に二次的に病気を生じさせる」という概念を、世界五大医学雑誌一つであるLancet誌に発表しました。
 
 またアメリカの歯科医師であるウエストン・A・プライスは、心臓病やリウマチなどの有病者の、感染した歯を抜歯して、ウサギの皮下に移植すると、そのウサギも抜歯した人と同じ病気が発現することを発見し、1923年に発表しました。
 
 これらの発表後、この概念を支持する歯科医師が保存可能な歯までむやみに抜歯するという事態が起こってしまいました。
そして、抗生物質の登場と、病巣感染という概念の科学的証明が不十分であったことから、この概念はあまり重要視されなくなりました。
 
 しかし、1986年にメイヨークリニック(全米で最も優れた病院のひとつに数えられている病院)が、感染性心内膜炎の主な原因菌は緑色レンサ球菌であると発表しました。この菌はプライスの研究で、感染した歯から最も多く検出された菌と同じ分類の菌です。そして、感染した歯の抜歯によって循環器系の疾患がほぼ完治した多くの例が報告されていました。
 
 歯の根の中には歯髄(神経や血管)がありますが、これをとってしまうと歯の中は感染しやすくなり、病巣感染の原因となってしまいます。そうならないためには、できるだけ歯髄をとらないようにすることが大切なのです。
そのためには「M.I.治療」を実践しなければならないのです。
歯を残すことは大切ですが、残すことににとらわれすぎて、病巣感染の原因となっている歯を残すのは、結局患者さんの全身の健康を脅かすことになりかねません。
 
※「M.I.治療」についてはこちらをご覧ください。